出版少し予定より遅くなりましたが今度本を発売します。「日本人の精神風土の起源 日本人の特異性はどこから生まれたか」というタイトルです。 これは「世界の歴史から日本を読み解く」というシリーズの第一冊目になります。 シリーズの二冊目は「彷徨える日本人 日本人の価値観は世界で通用するか」を予定しています。 これらは今私がブログで書いていることを本の形にしたものです。 ブログでは時間的・空間的に順不同になっているのを整理して必要な説明を付け加えたり不要なところを削除したりしたのです。 文章の表現はブログ用と本用ではかなり違っていますが、私の言いたい内容は変りません。 一冊目の「日本人の精神風土の起源」の発売日は11月10日かそれより少し前になります。 出版日がはっきりしないのはインターネットでの発売(楽天など)の日にちが今の時点では確定できないからです。 この本に関する情報は下記です。 世界の歴史から日本を読み解く1 日本人の精神風土の起源 日本人の特異性はどこから生まれたか ジョージ小川著 ISBN4-88469-430-9 出版社 太陽出版 定価 800円 大きさは新書版です。 本を出版するのは始めての経験ですので私なりに一所懸命になって書きました。 本を出版するというのは色々な人の協力があって初めて出来ることだということを実感しました。 私の本を出すのに協力をしてくださった方々に改めて御礼を申し上げます。 この本の序章をここで紹介します。 私の問題意識が書かれているからです。 序章 世界の歴史から日本を読み解く <いろいろな問題を根本的に解決すべき時がきた日本> 今日本人はいろいろな分野で壁にぶち当たり何とか未来を切り開こうと非常な努力をしています。 経済的な面では、政府の借金が巨額に達し、国と地方自治体を合わせると七百兆円になります。 これは表面だけの数字で郵便貯金を原資にした貸付が不良債権化したものや年金・健康保険の積立金不足などを合わせると倍の千五百兆円になるというのが実態のようです。 これはGDPの三倍に及ぶ額です。 国防というのは、国民の生命と財産を守るのが目的の国家としては最優先の課題のはずです。 しかし感情的な議論が横行し、目的をどう達成するかという検討がほとんどなされていません。 そのため、チャイナやコリアとの外交関係も不思議な状態になっています。 主権国家であれば起きるはずのない状態になっているわけですから、不思議としか言いようがないのです。 <日本人の性格の分析から現状の全体を見てみる> 多くの要因が複雑に絡み合っている日本の現実の中から、その一つの側面を取り上げて分析し解決策を提言するというやり方が多く見られます。 それも一つの方法ですが、本シリーズでは日本人の性格を分析した上で総合的に考えるやり方をとります。 その方が全体をよく把握できるからです。 <日本人は外来思想の根幹部分を受け入れていない> 日本には長い歴史があります。 今の日本人の性格がどのようにして出来たかを考えるということは、そのまま日本の歴史を考えることになります。 七世紀にチャイナの儒教を背景にした律令制度と仏教を導入して、日本は大きく変化しました。 その後この列島のなかで独自の発展を遂げ、江戸時代には非常に完成度の高い社会を作り上げました。 明治になりヨーロッパの諸制度を導入しました。 しかしこれは背景にキリスト教の価値観を持つものです。 日本人は、千三百年前に儒教を背景とした律令制度と仏教を取り入れ、道教も断片的に入ってきました。 江戸時代に再度儒教を取り入れ、明治になってキリスト教を背景とするヨーロッパの制度を導入しました。 征服により無理やり特定の思想を押し付けられたのではなく、自主的に自分の意思で外来思想を受け入れたのです。 選択権が自分にあるわけですから、受け入れないものもありました。 ですから律令制度や議会制民主主義、さらにはその背景にある儒教やキリスト教を、日本人が全体として受け入れたと考え議論を進めるとおかしな結論が出てしまいます。 外来思想受容の歴史を細かく観察すると、その思想の根幹となる部分は受け入れていません。 その思想から出てきた制度の一部を受け入れているだけです。そしてそれをさらに日本式に変えています。 <日本が現実の社会問題に有効な対策を打ち出せない理由> 日本人自身も外国人も、儒教制度や議会制民主主義を日本人が全体として受け入れたということを前提に考えています。 しかし根幹の部分を受け入れていないから議論が咬みあわないのです。 日本人が理解しているキリスト教や仏教も本場のものとはまるで違うのです。 このことを理解していないのが、今の日本人が現実に対して有効な対策を打ち出せない最大の理由です。 <世界の歴史から日本を読み解くシリーズ> このシリーズの最初である本書は戦国時代までが対象期間です。 この間に日本人は、どのようにして儒教・律令制度および仏教を受け入れたのか。と言うよりこれらの思想に反発して、自分たちの独自の思想を作り上げて行ったのかを論じます。 江戸時代は日本人の精神風土がかなり完成した時代で、明治時代はその延長線上にヨーロッパのキリスト教文化が上積みされました。 そこでシリーズ最初の本書の対象期間を戦国時代までとしたのです。 日本人の精神文化形成の助走期間であり、キリスト教の影響を受けていない時期なので、区切りとして良いと思ったからです。 本シリーズの第二弾である「彷徨える日本人 日本人の価値観は世界で通用するか」で、現代までを分析し日本人の問題点を総合的に論じます。 <チャイナ・コリアの表記> 中国という言葉を地理的概念・文化的概念として用いることはできません。 中国という言葉の背景には、自らを他民族より高いとし異民族を野蛮人とみなす外国蔑視があるからです。 従ってチャイナの用語を用います。また朝鮮については、北と南をあわせた文化的・地理的概念としてコリアを用います。 今度出版する本の最後の部分とあとがきも紹介します。 シリーズの二冊目との関係が書かれているからです。 真ん中の部分は本を買って読んでください。 <本シリーズ第二弾で日本人の精神構造をすべて解き明かす> 今までに述べてきたように、江戸時代を迎える頃には日本人の精神構造の基礎が出来上がっていました。 その上に江戸時代になって社会を安定されるために再度導入した儒教が日本的に変容して最終的には勤皇思想を生み出し明治維新の原動力となっていきました。 また一生懸命働くという特質を日本人が獲得したのも江戸時代です。 明治になってからキリスト教を背景とするヨーロッパの社会制度を導入しました。 しかしこの宗教も日本人にはまるでなじみのないものでしたから1300年前に律令制度を導入した時と同じような混乱と影響を日本人に与えました。 明治から第二次世界大戦までは、幕末からの勤皇思想とヨーロッパのキリスト教を背景とする「近代思想」の両方を日本人は使い分けていました。 しかし敗戦後は「近代思想」だけが残っています。 そしてその「近代思想」の背景となっているキリスト教を理解していないので、「民主主義」や「人権」といった近代思想の成果も本家であるヨーロッパとは全然違うように機能しています。 これこそが現在の日本の抱える問題の根本にあるものです。 本シリーズの第二弾である「彷徨える日本人 日本人の価値観は世界で通用するか」で江戸時代以後現代までを論じ、その問題点を最終的に明らかにします。 <父祖の国に帰ってきた> 私は日系アメリカ人です。 両親の教育方針もあり、日本語は不自由なく読み書きできます。 成人してから日本と係わりのある仕事に就いたこともあるので、歴史や文学もかなり学びました。 そして昨年春から東京の武蔵野に住まいを移しました。 それまでも日本に短期滞在したことは数多かったので、日本が分かっているつもりになっていました。 しかし実際に暮らし始めてみると、様々な局面で違和感を持つことに出会いました。 やがて「私が持った違和感は日本人の財産ではないか」と思うようになりました。 日本には日系アメリカ人は数多くいます。 しかし多くはビジネスの世界で活躍しており、自分たちの生活環境と日本の文化の衝突を積極的に外部に発表しようと思っている人は少ないようです。 私はそれをやってみようと思いました。 又私の思っていることが、実はひとりよがりで日本人の納得が得られないかの知れないという恐れもありました。 そこでブログという新しい媒体で私の意見を発表することにしました。読者の反応をすばやく受けることが出来るからです。 <ブログ「武蔵野航海記」> そして今年の5月に「武蔵野航海記」というブログを開設し、「小川のジョージ」というペンネームでデビューしました。 こっちの方もご覧下さい。http://plaza.rakuten.co.jp/sailmssn/ ブログというのはポテトチップスと同じで、始めるとなかなか止められません。 またタバコのように精神をリラックスさせる効果があります。 最初は調子に乗って、思いつくままに書き散らしていました。 ところがそのうちに、ブログだけでなく本にした状態で私の考えを外部には発表したいと思うようになったのです。 私のブログでは、時代や場所が順不同で書かれています。 その中からヨーロッパやキリスト教に関するものなど本書の対象外のものを除いてさらに追加削除して本書を作りました。 武蔵野にて |